
- ニュートンプレス
- 月刊誌
レベルが高かった号の翌月は期待できない。それが『ニュートン』の運命。
んで。特集「太陽系グランプリ」は惑星のデータを並べただけ。勉強になった点もないではないが物足りなくてつまらない。やはり面白い特集が2ヶ月続くことはないのだ。
でも特集以外に救われた。「ミニ地球が誕生する」は六ヶ所村の閉鎖型生態系実験施設。うやむやになった感のあるバイオスフィア2を越える成果を期待。「心の姿を脳に探す」はfMRIを使った脳の機能解析。心がただの化学反応であることを早く証明してほしい。
- 池波正太郎
- 新潮文庫
- 手持ち
池波処分シリーズ再開。今回のは生涯ワースト本。
んで。池波お気に入りの歴史上の人物についての談話なんだが、とにかくひどい。史実にないことを妄想で補完して当時はこうだったと見てきたようなウソを並べ、ある高校生が加藤清正を知らなかったから高校生全員が知らないと言い、昔は一目惚れがあったが今はないと断言し、手前の母親と嫁だけを基準に女性一般を語る。つまり全て“昔はよかった、今はダメ”という老人の妄言。
そのくせ「パリだけを見てフランスがわかったことにはならない」とか「一つ一つの事例を、ちゃんと、実態はどうであったか、確かめた上で」などと曰う。その言葉、そ の ま ま 返 す よ。

- アルゴノート社
- 月刊誌
2ヶ月振りに『PANZER』を買ってみた。
んで。特集は「陸上自衛隊60式装甲車の開発とその派生車」。陸自装備なので読まなきゃいけないような気がしたんだけど、読んでみたらただの焼き直し記事だった。他のページも相変わらずほとんどハズレ。わずかにFH70の記事が読めたけど、掲載されてた図が異常に汚くてナメてるのかと。
誤植も多いし、アルゴノート社やる気なさすぎ。
- 大石英司
- C★NOVELS
- 手持ち
引き続きノベルス。対象年齢高校生以下という感じ。
んで。下巻では74式戦車がCCV-LやAAWS-Mといった当時開発中だった新兵器を相手に大奮闘。開発名のままの試作品を実戦投入なんてあり得ないと思うが、74式を活躍させる餌だと思えば許せなくもない。青森県内限定の局地的な日米戦争は結局、愛に目覚めた両首脳が涙して終了。そんなんで終わるなら最初から戦争なんて起こらんよ。文章は翻訳調で、外人みたいな話し方する日本人に違和感ありまくり。誤植も多い。ま、所詮ノベルス。こんなもんだ。
ちなみにCCV-Lは空挺戦車で、後に制式M8となるもキャンセル。AAWS-Mは携行多目的ミサイルで現在のFGM-148ジャベリンだな。たぶんな。
- 大石英司
- C★NOVELS
- 手持ち
年末大掃除で発掘された残骸ノベルス。高校生の時に買った記憶がある。今になって改めて読むと、けっこう恥ずかしい。
んで。VTOL戦闘機を国産開発したり商船改造ヘリ空母を作ったりしてたら日米戦争になった。自衛隊が恐ろしく強いのが嬉しいけど空しい。日米とも準備期間なしでいきなり大規模戦闘開始とかAAMをAAMで迎撃可能だったりの無茶なご都合主義が各所に見られたけど、火葬物としては比較的マシな部類なのかなぁ。少なくとも鳴海章に比べれば。
国産VTOL機である93式艦戦「海燕」の活躍(妄想)を楽しむだけと割り切れば、それなりに読めるか。読めないか。
- 池波正太郎
- 新潮文庫
- 手持ち
連続で読むとストレスが溜まる池波処分シリーズ。今回は女を描いた短編集。
んで。なにも期待してなかったら不思議と読めた。使い回しの話もあったけど全体に珍しく考えて書いた気配だったのでビックリした。池波短編にありがちな突然終了パターンじゃなく、最後までちゃんと書いてた。弱い女を描かせると面白くない池波だが、今回のは強い女の話が多かったから助かった。
特に表題作は、昔読んだ記憶がうっすらと残ってた。たぶん当時も面白いと思ったんだろう。これならストレスにならない。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
まったりながらもけっこう読んでる俺の1月。
んで。朝日新聞連載の筒井長編。読者の意見によって展開が変わっていくものだったらしい。内容は多重虚構の嵐。宇宙戦争だと思ったらゲームの中で、プレイヤーが出てきたら実は小説の中で、作家が出てきて最終的に虚構次元の壁が崩壊した。現実のASAHIネットとリンクしてたり、キャラが投書や書き込みに対してリアクションを取ったりで、これがメタフィクションなのかと。
タイトルの意味がわからなかったんだけど、どうも『夜のガスパール』という散文詩集のパロディらしい。ガスパールは悪魔なのか。やっぱり意味がわからん。
- 上野正彦
- 文春文庫
- 古本
読書時間が電車と就寝前に限定されると2日で1冊ペースになる。心身共に無理がなくてとてもよい。
んで。105円で入手したかったんだけど見つからなかった上野正彦のデビュー作。角川文庫の上野作品に比べて構成がまともだったので普通に読めた。内容はいつもとほぼ同じで、他の本とかぶってない部分は半分もない。その半分に期待して読むというのは藤田紘一郎の寄生虫シリーズに近いものがある。
でもやっぱり適正価格は105円という気がするなぁ。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
週7日出勤。精神的限界目前なので早くどうにかしないと逃亡する。でも本は読む。
んで。今回の筒井は平成時代の短編集。全18編収録で当たり外れはあるけど安心して読めた。初期短編と比較すると勢いが弱いし意味がわかんないのもあったけど、それはそれとして楽しめた。
まったりとした凄さを感じた「鳶八丈の権」は珍しく時代物。鬱の亭主を抱えて身体で生活費を稼いでた女房、正気を取り戻した亭主がそれを知って、という話でオチがよかった。「最後の喫煙者」は筒井の真骨頂。馬鹿馬鹿しいけどちょっと怖い。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 新本
引き続き連日の読了だ。忙しいはずなんだけどなぁ。時間の使い方が上手くなったのかも。
んで。事前情報ナシで読んでみた『旅のラゴス』。読んでよかった! 地球っぽいけどなんか違う不思議な世界を旅するラゴス。行く先々で人と出会い、イベントが起こる。世界観が緻密でワクワクした。なんとなくFF11っぽい風景を思い浮かべた安っぽい俺。連作形式の各話ごとに焦点が絞り込まれてダレがない。テーマは爽快。楽しかったり悲しかったり腹が立ったりと盛り沢山だし、儚くも胸躍る幻想的なラストもイイ。文句のつけようがない。読んでると言うよりも、入り込むというか本を体験してるというか、そんな気にさせられた。
筒井長編では俺的ベストかも。








