- 浅田次郎
- 光文社文庫
- 借り物
弟から借りた『きんぴか』シリーズを読んでみた。
んで。これは前に読んだ記憶があるはずなんだけどほとんど憶えてなかった。元が光文社のノベルスだから軽い。浅田だからますます軽い。中身はほとんどない。2時間くらいで読み終わった。笑える娯楽小説だから疲れなくていい。
最強キャラは軍曹で決まり。全てがバカすぎで腹が痛い。自衛隊の描写がそれっぽいのはさすが元自。ピスケンも愛嬌があってよかった。でも一番好きなエピソードはヒデさんの「パパはデビル」かも。なんというか、萌え?
- 筒井康隆
- 岩波現代文庫
- 新本
かつてのベストセラーを後ればせながら読んでみた。文庫にならなきゃ読まないから全て後ればせだ。
んで。大学教授をとことん茶化して抱腹絶倒。でもただのバカ小説かと思ってるとそんなこともなく、唯野先生の文芸批評論の講義は本物の授業みたいだった。記号論とか構造主義なんて言われても理解不能だが。
でも文学論などに興味のない俺が読んで楽しめたので、話題になっただけのことはあると思う。唯野先生の授業なら受けてみたいかも。
- 吉村昭
- 新潮文庫
- 貰い物
母親がどっからか貰ってきた文庫。捨てるというので読んだ。
んで。読んダラ初登場の吉村昭。少年時分、海で遭難してアメリカ船に助けられ、向こうで教育受けたり働いたり大統領と会ったりした後、幕末の日本に帰国して通訳になった彦蔵のドラマチックな物語。彦蔵が出会ったアメリカ人がいい人ばかりで、別れの場面では思わず涙。あと40才の時18のお嫁さんもらってたので羨ましかった。ただ吉村昭だけに終始淡々としすぎな嫌いがあった。もうちょっと盛り上がってよさそうな話だったけどなぁ。
ちなみに彦蔵が実在の人物だということをあとがきで初めて知った。フィクションだと思って読んでたよ。
- 小関智弘
- 岩波新書
- 古本
物書き旋盤工 小関智弘の岩波新書。幸運なことにブコフで発見。
んで。岩波アレルギーに耐えつつ読み始めてみたら面白かった。研削、深絞り、瓦、空師などの職人さんへのインタビューを軸に興味深いエッセンスを抽出。自ら町工場の職人だけあって着眼点が的確で、まさに読みたかった職人話だった。岩波新書初のストレスゼロ。
一番興味を惹かれたのは空師。庭師の上級ジョブみたいな仕事で、大木を相手に登ったり切ったり。東京に1軒しかないというからますます格好いい。
- 池波正太郎
- 新潮文庫
- 手持ち
左肩から側頭部にかけて激痛が。起きてるのがツラかったのでうつらうつらと池波処分シリーズ。
んで。今回のは短編集。股旅連作3本と真田外伝4本。そんなに面白くはないが、なんとなく読めた話もあった。股旅物はあまり印象に残ってないんだけど、腹が立った記憶がないので読めたのだと思う。真田外伝は散漫で意味不明。短編なのに主人公もテーマもあやふやで、結局なにもまとまらないまま漠然と終わった。とても池波らしい。
- 亀谷了
- 講談社+α文庫
- 古本
目黒寄生虫館の館長 亀谷了の本。ググったらもう死んでた。
んで。1965年発行の『寄生虫紳士録』に加筆修正したものらしく全体的に古臭い。各話題も掘り下げ不足で、寄生虫による影響についてはほとんど触れられていなかった。写真もない。文章の巧さやユーモアのセンスも含めて藤田紘一郎のほうが数段上という印象。
かろうじて人間以外の動物につく寄生虫が出てきたのは評価できるかも。学生時代、ブルーギルの鰭についた虫を顕微鏡スケッチさせられた想い出が甦った。
- 大石英司
- C★NOVELS
- 貰い物
年末大掃除の発掘本はこの上下巻でラスト。
んで。大石英司の第二次シリーズ、今回は湾岸戦争。イラク軍侵攻に対して日韓英仏独あたりを主力にした国連軍が出動。アメリカは静観。上巻では急遽購入したストライクイーグルを駆る空自TAC部隊が陸の主力を待ちながら頑張ってた。日の丸ストライクイーグル萌え。でもノベルスだけに細部はいい加減。主役の空自イーグルドライバーがなぜか空曹長。幹部任官を拒んだら即エリミネートじゃなかろうか。その他、国内のテロで1万人も死んだり陸自部隊を積んだ民間機が最前線に強行着陸したりと滅茶苦茶だ。
下巻はどうなるんだっけなぁ。
- 池波正太郎
- 新潮文庫
- 手持ち
池波処分シリーズ再開。今回のは生涯ワースト本。
んで。池波お気に入りの歴史上の人物についての談話なんだが、とにかくひどい。史実にないことを妄想で補完して当時はこうだったと見てきたようなウソを並べ、ある高校生が加藤清正を知らなかったから高校生全員が知らないと言い、昔は一目惚れがあったが今はないと断言し、手前の母親と嫁だけを基準に女性一般を語る。つまり全て“昔はよかった、今はダメ”という老人の妄言。
そのくせ「パリだけを見てフランスがわかったことにはならない」とか「一つ一つの事例を、ちゃんと、実態はどうであったか、確かめた上で」などと曰う。その言葉、そ の ま ま 返 す よ。
- 大石英司
- C★NOVELS
- 手持ち
引き続きノベルス。対象年齢高校生以下という感じ。
んで。下巻では74式戦車がCCV-LやAAWS-Mといった当時開発中だった新兵器を相手に大奮闘。開発名のままの試作品を実戦投入なんてあり得ないと思うが、74式を活躍させる餌だと思えば許せなくもない。青森県内限定の局地的な日米戦争は結局、愛に目覚めた両首脳が涙して終了。そんなんで終わるなら最初から戦争なんて起こらんよ。文章は翻訳調で、外人みたいな話し方する日本人に違和感ありまくり。誤植も多い。ま、所詮ノベルス。こんなもんだ。
ちなみにCCV-Lは空挺戦車で、後に制式M8となるもキャンセル。AAWS-Mは携行多目的ミサイルで現在のFGM-148ジャベリンだな。たぶんな。