- 筒井康隆
- 中公文庫
- 新本
筒井ブーム続行中。
んで。今回のはスゴい実験作。言葉の音が消えていく。人が感情移入しているのは言語そのものなのかそれとも言語が表しているイメージなのかを実験すべく虚構内現実で言語を消していくというメタな世界。「あ」が消えて「あ」のつく言葉は使えなくなり次に「ぱ」が消え、そして「せ」が消え……で最後は全部消える。
だんだんと使える音が少なくなっていく中で表現論を語ったり官能的な表現に挑戦したり。いろいろなことを書いているうちにも使える音は少なくなっていくから後になればなるほど大変なことに。それでも最後まで筒井だった。小難しいところもあったけどなんとかなったよ。
- 上野正彦
- 角川文庫
- 新本
検死エッセイを読み終わり。死体は死んでいると思うのだが。
んで。第1章は5ページ前後のノンフィクション。この短さだから内容は大したことない。第2章は事実を基にした小説。事実を書いてくれたほうがマシだと思った。第3章は再びノンフィクション。これも全部短めで浅い。
途中の小説は語るに及ばないとして、ノンフィクションの各エピソードが短すぎ&内容浅すぎ。検死の結果こう判断したけど事件が解決したかは知らない、というのがデフォだから中途半端。新本で買うほどのものではなかった。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
ブックオフを探索中に100円棚で発見。
んで。ヤバいくらいに面白かった。今まで読んだミステリーや推理小説がゴミに思えるくらいの面白さ。これぞまさに“筒井の推理小説”。それ以外に説明のしようがない。いろんなところで違和感を感じるんだけど、それがなんなのかハッキリと分からないままストーリーは進む。そして事件解決の瞬間……そうきたか! 生まれて初めて推理小説で感動した。ほぼ全編にわたって伏線が張り巡らされていたのに全然わからなかった。やられた。
トリックが全て明かされた後、もう一度読み返さないと気が済まないくらい面白かった。この面白さは絶対に映像化できない。
- 筒井康隆
- 文春文庫
- 古本
本日2冊目となる『わたしのグランパ』は読売文学賞受賞作。
んで。経験上、筒井のジュブナイルにはあまりよい印象がなかったんだけど、これはけっこう楽しめた。中学生の主人公 珠子の家に刑務所を出所した祖父 ゴダケンさんが帰ってきたという話。このゴダケンさんの生き様が任侠って感じで妙に格好よかった。
あまりジュブナイルという雰囲気はなく、ごく普通に読めた。
- 筒井康隆
- 文春文庫
- 新本
筒井断筆明けシリーズが絶好調。
んで。これは短編集。表題作は“エンガチョ”のことだった。エログロナンセンスでちょっと安心。実名の作家とクスリが出まくりの「猫がくるものか」、将軍様のパロディ「首長ティンブクの尊厳」あたりがお気に入り。「越天楽」から始まる七福神シリーズは一見『遠野物語』みたいなのに内容はバカ。笑った。
巻末に「附・断筆解禁宣言」なる対談が載ってた。今まで断筆はてんかん協会とのいざこざが原因だと思ってたんだけど、実際はマスコミの自主規制への抗議だったみたい。大げさに騒ぐのは当事者ではなく常にその取り巻きの人間だというのは大いに納得。

- 防衛弘済会
- 月刊誌
先月号で定期購読終了かと思ってたら今月号までだった。届いたその日に読み終わり。
んで。内容はいつもの通りで特筆事項なし。ちっと寂しい。自衛隊ネタだらけだから面白くないわけじゃないんだけど、エンターテイメント不足のような気がする。
ちなみに定期購読延長するの忘れてたら申し込み期限切れちゃったので一旦終了。また読みたくなったら改めて考えよう。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 新本
今月17冊目の文庫ということで月間新記録樹立。仕事もせずに頑張った。
んで。記念すべき一冊は久しぶりの筒井長編。裏表紙の紹介文を読んだ限りでは胡散臭いSFという予感がしたんだけど、とんだ大間違い。サイコセラピストの千葉敦子は患者の夢に入り込んで精神病の治療をしちゃう夢探偵パプリカという顔も持ってんの。美人。彼女が研究所の派閥争いに巻き込まれ天才同僚が開発中の精神治療機材を奪われたりそれを悪用されたりでもう大変。そのうちに夢と現実がゴッチャになって……という真面目なSF展開でドタバタな笑いは一切ナシ。正統派な大作だった。久々に物語にのめり込んじゃった。
特に後半は夢うつつな物語。読んでるこっちも現実に読んでいるのか夢の中なのか、足下が覚束ないような不思議な感覚。ラストシーンも不思議でよかった。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 新本
今日から再び筒井康隆。
んで。これは新作短編集で、断筆解除後の作品が全10編。昔の短編に比べると全体に大人しくなった感じを受けたけど、ハチャメチャありシニカルありでけっこう楽しめた。
筒井の“家”物が大好きな俺なので、お気に入りは「谷間の豪族」。なぜか懐かしいイメージが浮かんだ。ただ不思議感というか夢うつつ感は「遠い座敷」「家」に比べるべくもない。オチがきれいすぎ。このへんに筒井の老いを感じる。

- ニュートンプレス
- 月刊誌
今月はミリタリー系雑誌をパスしたのでこれでノルマ達成。
んで。特集は「人体をつくりあげている200種の細胞」。形と機能を一挙掲載ということでそれなりに楽しみにしてたんだけど期待ハズレ。ただ並べただけのカタログ記事だった。この雑誌は数ヶ月に1回くらい面白い特集があるんだけど、それ以外は全然ダメだなぁ。
今月号で最も興味を引かれたのは「さようならガリレオ探査機」。1ヶ月も前に墜ちてた。中学生時代、早く木星に到着しないかなぁと期待に胸ふくらませたガリレオがもう終了とは。時の経つのが早すぎでショック。またなにか大型探査機を作ってほしいけど、その可能性は低そうで残念だ。
- 小関智弘
- 小学館文庫
- 新本
筒井を読むと言ったそばから違う本を読んだ。日本の産業を支える町工場な気分だったから。
んで。産業ピラミッドの底辺に位置しているだけに景気の影響をもろに喰らう町工場。でも職人さんは腕とアイデアで乗り越える。NCとかプレーナーとか個人的に懐かしい用語がたくさん出てきて、モノを作る仕事っていいなぁと再認識。旋盤、フライス、プレーナー、鋳物、鉸(シボリ)などなど読んでいて実際にやってみたくなるような作業ばかりだった。出来れば各種溶接も取り上げてほしかったな。
町工場の旋盤工をやりつつ執筆もしている著者だけにリアル。技術的なこともしっかりと説明されていて楽しかった。








