- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
某クイズ番組のスマホ大会、事前シミュレーション開始。ユーザに流れを教えると同時にシステムの動作確認を兼ねるのが本来の姿だったんだけど、実はシミュ専用に書き下ろしたプログラムなのよね。だって本番の仕様が決まってないだもん。
んで。続けざまの筒井は、また比較的最近の作品で老人バトルロワイヤルな長編。高齢者福祉を皮肉った設定の筒井らしいハチャメチャ話だけど、やっぱし若い頃の滅茶苦茶加減に比較するとかなり落ち着いちゃったなぁって感じ。でもこれはまぁ良い意味での落ち着きで、昔の長編のように変にメタに走ったりせず、最後までちゃんとストーリーを書ききってくれて面白かった。
なにげに俺も相応に歳を取ってるのかも……いや、そんなはずはない。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
そろそろ某クイズ番組のシステムがスケジュール的に本気でヤバいんだけど、こんぴゅーた素人のPが全く危機感を感じてないどころか今になって思いつきでアイデアを次々と出してくる。悪い予感しかしない。
んで。続けざまの筒井作品は比較的最近のヤツ。ジュブナイル、と思わせておいて実はちゃんとしたファンタジーだったからいい意味で期待を裏切られた。舞台はヒャッハー状態になった近未来の日本。左腕が不自由な主人公の愛ちゃんが父親を探して旅に出る。彼女の左側には、いつも誰かがいて守ってくれる、というラゴス系の冒険ファンタジー。筒井の場合、ドタバタしないちゃんとしたファンタジーは新鮮でいいね。
恥ずかしいから小声で言うけど、こういうの大好き。
- 筒井康隆
- 角川文庫
- 古本
某クイズ番組のスマホ大会向けシステムを7年ぶりに大きく仕様変更することになったんだけど、本番まで3週間を切った本日の時点で未だ最終仕様が決まってない。もう間に合う自信ない。
んで。未読の在庫が乏しくなってきたので久々の筒井康隆。これが非常に残念なことにつまらないほうのSF長編だった。俺だってパロディとかドタバタが嫌いなわけじゃないんだけど、最低限の論理性というか整合性を保ってもらわないと楽しめない。筒井のこれ系の小説を読むたび、一生懸命キチガイのふりをしてる常識人の姿が透けて見えるようで、ちょっと哀れに感じてしまう。
これを面白いと感じるのはどんな層なんだろうか。本気で不思議。
- 梯久美子
- 新潮文庫
- 古本
祖父が生前、部屋にアロヨ大統領の写真を飾って「いい女だなぁ」と言ってたのを思い出した。祖父の血を一番濃く継いだと言われる俺がフィリピン娘と結婚したのは必然だったんだ。
んで。硫黄島で米軍を恐怖のズンドコに陥れた栗林忠道中将の話。第37回大宅賞受賞作。硫黄島の戦いのみにフォーカスして、栗林中将の厳しくも頼れる指揮っぷりを存分に追ってるんだけど、マメに出してた家族宛の手紙からは優しいパパの顔が覗くっていう構成で泣かせに来た。理想の上司の下、一致団結してベストを尽くしたんだけど結局みんな死ぬって悲壮感がとてもいい。文章も上手いし、どうせならもっと長くもっと詳しく書いてほしかった。もっと読んでいたかった。
俺、これから尊敬する人物を聞かれたら栗林忠道中将って答えることにするよ。
- 米原万里
- 角川文庫
- 古本
肝臓のためにDHCのオルニチンを買おうと決めたんだけどまだ注文してなくて早くしなきゃなー。注文さえすれば肝臓がメキメキ良くなる予感がするんだ。だから今日も飲んでOK!
んで。1960年代に共産党のお偉いさんだった父親の転勤でプラハのソビエト学校に通った思い出話。第33回大宅賞受賞作。さすがソビエト学校、各国のアカいエリート家庭の子弟が集まってて同級生のキャラがスゴい。その中でも際立ってぶっ飛んでたのがアーニャだったってわけ。さらに時は流れて30年後、激動の東欧を訪れてアーニャと再会を果たしたらいろいろショッキングだった。フィクションかと疑いたくなるくらい面白い。
鉄のカーテンの向こう側の人々が興味深すぎて、これは文句なしの満点。久しぶりにいいもの読ませてもらった。
- 高山文彦
- 角川文庫
- 古本
オルニチンが肝臓に効くらしい、という話を小耳に挟んだ。協和発酵バイオが評判いいけど、高いから日和ってDHCの安物を買ってみよう。これで肝臓復活の予感がするから飲んでOK!
んで。二・二六事件と同時にデビューした謎だらけの天才作家・北条民雄の生涯の話。第31回大宅賞受賞作。誰しも真っ先に思い浮かぶ言葉はこれでしょう。それ誰? そう、その正体はハンセン病に苦しみながらも文学に生きた青年だった、と言われても誰よ? かの川端康成に見いだされながらも文壇デビューから2年後に夭逝した北条民雄。って、だから誰? 残した作品も私小説みたいだし、一言どうでもいい。
最後まで北条民雄が誰だかわからないという不思議な話だった。結局こいつ誰よ?
- 野村進
- 講談社+α文庫
- 古本
某クイズ番組で2年ぶりのスマホ大会開催が決まったとのことで、ぼちぼち準備開始。地区大会の敗者復活戦もスマホを使ってやるとかで、そっちの仕様も考えなきゃなぁ。
んで。他国で暮らす下朝鮮人が日本で世界でなにを考えてどう生きているかを追った話。第28回大宅賞受賞作。国内では在日芸能人とか焼き肉屋、パチンコ屋など、海外ではロサンゼルスの朝鮮街やベトナム、さらに下朝鮮国内まで取材しててボリューミー。著者が冷静に現実を書けば書くほど、結果として世界中で嫌われる理由ばかりが見えてきて微笑ましい。そして気持ち悪い。
勝手に他国に住み着いて嫌われるようなことしてシャベツシャベツ言うんだから、ホントどえらいミンジョクだよ。
- 後藤正治
- 文春文庫
- 古本
なんでか理由はわからないけど、お酒を飲むと頭がスッキリする。肝臓はグッタリしてるんだろうけど、飲んだ途端に疲れと怠さが吹き飛んで意識シャッキリするからやめられないぜ。
んで。西宮西高校っていう定時制高校のボクシング部の話。第26回大宅賞受賞作。落ちこぼれ生徒たちがボクシングに打ち込んだり打ち込まなかったりする青春群像で、淡々としてるけど熱かった。西宮というお土地柄か、キーマンである顧問が同和やら在日朝鮮人関連の活動に熱心な日教組だったり、登場する生徒にもそっち出身者が多い点は気持ち悪かったけど、それ以外は気持ちよく読める良作。
ちょっと定時制高校に憧れた。金と時間に余裕があったら通ってみたい。
- 塚本哲也
- 文春文庫
- 古本
フィリピンから帰ってきた。今までなら実家滞在の後は毎年のように入院だの通院だのしてたけど、あれは実家の環境のせいだったことが判明した。新築の別宅は至極快適だったよ。
んで。オーストリア=ハンガリー帝国最後のお姫様の話、下巻はオーストリア近代史。ナチスドイツが侵攻してきたり敗走したりスターリン率いるソ連が進駐してきたりして20世紀のオーストリアは大忙し。お姫様はナチス相手のレジスタンスに参加したりしてたけど見せ場らしい見せ場はなく、下巻に関してはエリザベートの存在にあまり意味はなかったなぁ。
歴史の勉強になったけど、関係も興味もないから一瞬で忘れる自信がある。
- 塚本哲也
- 文春文庫
- 古本
いよいよ明日、フィリピン里帰りに出発! 今までは実家に滞在するたび、あまりの環境の悪さに身体を蝕まれて入院したりしてたけど、今年は新築の別宅があるのだ。頼むぞ俺の別宅!
んで。オーストリア=ハンガリー帝国最後のお姫様の話。第24回大宅賞受賞作。父親が心中したり祖母が暗殺されたり身分違いの結婚をしたり離婚したりしてるうちにハプスブルグ帝国は崩壊。第一次大戦、ヒトラーによるオーストリア併合と激動の時代でどうなるのかと思ったらお姫様のくせにアカに染まったりと非常に多忙。最後の皇女にふさわしいはっちゃけぶりは割とよいと思う。
それにしてもヨーロッパの歴史ってごちゃごちゃしてて酷いもんだな。