- 池波正太郎
- 新潮文庫
- 手持ち
池波処分シリーズ再開。今回のは生涯ワースト本。
んで。池波お気に入りの歴史上の人物についての談話なんだが、とにかくひどい。史実にないことを妄想で補完して当時はこうだったと見てきたようなウソを並べ、ある高校生が加藤清正を知らなかったから高校生全員が知らないと言い、昔は一目惚れがあったが今はないと断言し、手前の母親と嫁だけを基準に女性一般を語る。つまり全て“昔はよかった、今はダメ”という老人の妄言。
そのくせ「パリだけを見てフランスがわかったことにはならない」とか「一つ一つの事例を、ちゃんと、実態はどうであったか、確かめた上で」などと曰う。その言葉、そ の ま ま 返 す よ。
- アルゴノート社
- 月刊誌
2ヶ月振りに『PANZER』を買ってみた。
んで。特集は「陸上自衛隊60式装甲車の開発とその派生車」。陸自装備なので読まなきゃいけないような気がしたんだけど、読んでみたらただの焼き直し記事だった。他のページも相変わらずほとんどハズレ。わずかにFH70の記事が読めたけど、掲載されてた図が異常に汚くてナメてるのかと。
誤植も多いし、アルゴノート社やる気なさすぎ。
- 大石英司
- C★NOVELS
- 手持ち
引き続きノベルス。対象年齢高校生以下という感じ。
んで。下巻では74式戦車がCCV-LやAAWS-Mといった当時開発中だった新兵器を相手に大奮闘。開発名のままの試作品を実戦投入なんてあり得ないと思うが、74式を活躍させる餌だと思えば許せなくもない。青森県内限定の局地的な日米戦争は結局、愛に目覚めた両首脳が涙して終了。そんなんで終わるなら最初から戦争なんて起こらんよ。文章は翻訳調で、外人みたいな話し方する日本人に違和感ありまくり。誤植も多い。ま、所詮ノベルス。こんなもんだ。
ちなみにCCV-Lは空挺戦車で、後に制式M8となるもキャンセル。AAWS-Mは携行多目的ミサイルで現在のFGM-148ジャベリンだな。たぶんな。
- 大石英司
- C★NOVELS
- 手持ち
年末大掃除で発掘された残骸ノベルス。高校生の時に買った記憶がある。今になって改めて読むと、けっこう恥ずかしい。
んで。VTOL戦闘機を国産開発したり商船改造ヘリ空母を作ったりしてたら日米戦争になった。自衛隊が恐ろしく強いのが嬉しいけど空しい。日米とも準備期間なしでいきなり大規模戦闘開始とかAAMをAAMで迎撃可能だったりの無茶なご都合主義が各所に見られたけど、火葬物としては比較的マシな部類なのかなぁ。少なくとも鳴海章に比べれば。
国産VTOL機である93式艦戦「海燕」の活躍(妄想)を楽しむだけと割り切れば、それなりに読めるか。読めないか。
- 池波正太郎
- 新潮文庫
- 手持ち
連続で読むとストレスが溜まる池波処分シリーズ。今回は女を描いた短編集。
んで。なにも期待してなかったら不思議と読めた。使い回しの話もあったけど全体に珍しく考えて書いた気配だったのでビックリした。池波短編にありがちな突然終了パターンじゃなく、最後までちゃんと書いてた。弱い女を描かせると面白くない池波だが、今回のは強い女の話が多かったから助かった。
特に表題作は、昔読んだ記憶がうっすらと残ってた。たぶん当時も面白いと思ったんだろう。これならストレスにならない。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
まったりながらもけっこう読んでる俺の1月。
んで。朝日新聞連載の筒井長編。読者の意見によって展開が変わっていくものだったらしい。内容は多重虚構の嵐。宇宙戦争だと思ったらゲームの中で、プレイヤーが出てきたら実は小説の中で、作家が出てきて最終的に虚構次元の壁が崩壊した。現実のASAHIネットとリンクしてたり、キャラが投書や書き込みに対してリアクションを取ったりで、これがメタフィクションなのかと。
タイトルの意味がわからなかったんだけど、どうも『夜のガスパール』という散文詩集のパロディらしい。ガスパールは悪魔なのか。やっぱり意味がわからん。
- 上野正彦
- 文春文庫
- 古本
読書時間が電車と就寝前に限定されると2日で1冊ペースになる。心身共に無理がなくてとてもよい。
んで。105円で入手したかったんだけど見つからなかった上野正彦のデビュー作。角川文庫の上野作品に比べて構成がまともだったので普通に読めた。内容はいつもとほぼ同じで、他の本とかぶってない部分は半分もない。その半分に期待して読むというのは藤田紘一郎の寄生虫シリーズに近いものがある。
でもやっぱり適正価格は105円という気がするなぁ。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
週7日出勤。精神的限界目前なので早くどうにかしないと逃亡する。でも本は読む。
んで。今回の筒井は平成時代の短編集。全18編収録で当たり外れはあるけど安心して読めた。初期短編と比較すると勢いが弱いし意味がわかんないのもあったけど、それはそれとして楽しめた。
まったりとした凄さを感じた「鳶八丈の権」は珍しく時代物。鬱の亭主を抱えて身体で生活費を稼いでた女房、正気を取り戻した亭主がそれを知って、という話でオチがよかった。「最後の喫煙者」は筒井の真骨頂。馬鹿馬鹿しいけどちょっと怖い。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 新本
引き続き連日の読了だ。忙しいはずなんだけどなぁ。時間の使い方が上手くなったのかも。
んで。事前情報ナシで読んでみた『旅のラゴス』。読んでよかった! 地球っぽいけどなんか違う不思議な世界を旅するラゴス。行く先々で人と出会い、イベントが起こる。世界観が緻密でワクワクした。なんとなくFF11っぽい風景を思い浮かべた安っぽい俺。連作形式の各話ごとに焦点が絞り込まれてダレがない。テーマは爽快。楽しかったり悲しかったり腹が立ったりと盛り沢山だし、儚くも胸躍る幻想的なラストもイイ。文句のつけようがない。読んでると言うよりも、入り込むというか本を体験してるというか、そんな気にさせられた。
筒井長編では俺的ベストかも。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
忙しいと言いながら連日の2冊撃墜。こうして俺の睡眠時間は削られているらしい。だから身体の調子が悪いのか。
んで。筒井康隆劇場。内容は戯曲5編+テレビドラマ脚本1編。「人間狩り」「部長刑事」が面白かった。後者はドラマ脚本で、回想シーンに他のキャラが割り込んできたりする筒井お得意のメタフィクションがちょこちょこ。他も割合ストレスなく楽しめはしたんだけど問題は「三月ウサギ」。途中まで面白そうな展開だったのに最後がわけわからん。なんか前衛的すぎて理解不能。
まぁこういうこともあるだろう。筒井だし。
- 上野正彦
- 角川文庫
- 古本
人生に空き時間などない。とにかく読書。
んで。久々の監察医シリーズは前回の経験を活かしてブコフ105円。内容は前回とかぶりまくり。監察医とはなんぞや、検死とはなんぞやという同じような記述が毎回のように出てきてウザい。それと3部構成のうち第2部だけが何の説明もなく小説だった。もう少し構成を考えてほしい。
だが死体とか検死はそれなりに面白い。105円のなり価値はあった。
- 筒井康隆
- 文春文庫
- 新本
調子に乗って今年初の1日2冊。仕事が忙しいのになぜだろうと思ったら睡眠時間が削られてた。どうりで眠いはずだ。
んで。筒井の処女長編。マスコミと大衆が互いにエスカレートしていって最後は戦争という筒井お得意のドタバタ。『俗物図鑑』みたいな感じ。正直ワンパターンで先の展開が想像ついちゃうからそんなに面白くない。
筒井も当たり外れの大きい作家だなぁ。
- 池波正太郎
- 新潮文庫
- 手持ち
楽しそうな本ばかり読むと罰が当たるので池波処分シリーズ。
んで。短編集。池波お気に入りキャラのお気に入りエピソードからスタート。半分は他の本で読んだことのあるコピペ話だった。後半に入って事態が少し好転。「元禄色子」「男色武士道」はけっこう読めた。男女の話はつまらないのに男男だとそこそこ書けるあたりが池波的と言えば池波的。
読んでて腹が立たなかったので、池波にしたら大当たりか。評価基準が異様に低いな。
- 前間孝則
- 講談社+α文庫
- 新本
下巻を読み終わり。けっこうサクサク読んだ気がしたけど終わってみたら時間がかかってた。
んで。下巻の舞台は戦後。民間用大型エンジンを共同開発できるまでになった石播の話。RR、P&Wあたりと肩を並べたような書き方だったけど、実際の担当箇所は低圧系だけなのでイマイチ。高圧・燃焼系に挑戦しなきゃジェットエンジン開発じゃない。
上巻に比べて盛り下がっちゃったけど、でも読んでよかったとは思う。ジェットエンジン面白い。
- 前間孝則
- 講談社+α文庫
- 新本
2ヶ月くらい前に買ったまま放置してた本を読んでみた。
んで。上巻は「国産ジェット機・橘花」ということで戦時中の国産ジェットエンジンであるネ20がメイン。面白い。情報も技術も不足している中でジェットエンジンに挑戦する男たちの格好よさといったら。超アツい。
ただ細かい部分で不満あり。著者はジェットエンジン設計上がりというから詳しいんだろうけど、説明なしで「フリーピストン・ガスタービン」とか「オープンサイクル2軸再生式」と書かれてもわからない。モデル図くらい載せてほしかった。文章力も微妙。指示語が指しているべき言葉がなかったり主語がなかったりで、意味をどうにでも取れちゃう場面が頻出。このへんはどうにかしてほしい。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 新本
ビックリするほど時間かかった。
んで。最初の舞台は宇宙船。乗組員は心を病んだ文房具。擬人化されたキチガイ文房具なんて初めて読んだ。各キャラの狂い方が凝ってて面白かった。次にどこかの星の鼬の歴史。世界史のパロディになってるっぽいんだけど全然面白くない。ここで1週間かかった。つまらなすぎて夢に出た。最後は文房具vsイタチの戦争。100人vs15億人とかそんな感じ。文房具のオーバーテクノロジーで殺戮の嵐。双方共に死、死、また死。時系列ゴチャゴチャ、視点不定、スピード感のある場面転換に引き込まれた。ただクライマックスを迎えたまさにその時、全然関係ない記述が出まくるようになって全て台無し。
余計なことして大失敗した感じ。もったいない。
- 鳴海章
- C★NOVELS
- 貰い物
体調が悪い。微熱がひかず苦しみの寝正月。ただ寝てるのもヒマなので続きを読んだ。最終巻だと思うと喜びもひとしお。
んで。天然ガスプラントを守るべく対地攻撃したら米空母部隊が来て空母対決。負けた。終わり。展開はご都合主義、戦闘シーンはゴチャゴチャで読むに耐えない。矛盾点も大量。ファントム2番機の着艦事故でパラシュート降下してきたのは、なぜか3番機の後席員。上巻で「従来の20倍」だった「SFH」という装置の動作速度が下巻では「数百倍」。アメリカ側メインキャラが乗っていたというA-6が中巻ではB型、下巻ではA型。もうボロボロ。
本職の空自パイロットに協力してもらったらしいのだが、それでこの程度か……絶句。
- 鳴海章
- C★NOVELS
- 貰い物
新年明けましておめでたいんだけど読んでる本は激しくくだらない。元日から虚しい気分。
んで。日本企業が東南アジアに建設した天然ガスプラントがテロに襲われたので空母「信濃」がレッツゴー。米軍なんて意にも介さず海賊船を撃沈したり大暴れ。とにかく無茶だ。ストーリー展開は異様に早い。途中経過もなにもなく突如として次の段階へ進む。その代わり兵器の描写にかなりの文字数が割かれているんだけど、これが悲しいほど素人丸出しのウソ知識なので読んでらんない。
まだ下巻が残ってるねぇ。困った。