- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
筒井康隆劇場シリーズは戯曲集。既に絶版なんだけど状態の良い古本を発見。
んで。表題作は『12人の怒れる男』のパロディ。怒れるほうでは陪審員が有罪から無罪に転じていったけど、浮かれるほうは逆に無罪を無理矢理有罪にしていく話。ブラックでよかった。「スタア」は筒井初の戯曲だとか。大勢によるドタバタはまさに筒井という感じだった。
「情報」「改札口」「将軍が目醒めた時」の3編は小説を戯曲化したものか。小説とは雰囲気が違ってそれなりに面白かった。戯曲なんて面白くないと思ってたけど、面白い戯曲は面白いのかも。
- 小関智弘(選)
- 小学館文庫
- 古本
小関智弘の名前が見えたので読んでみたら大変だった。
んで。「手仕事を見つけた」ばかりの素人さんがガテンに投稿してきた就職体験談。“この仕事に就けて毎日が充実しています”という素人作文揃いで、あくまでガテン系狙いで就職活動している人を対象にした本だった。大失敗した。
職業訓練校の一覧表などにページが割かれてて、読むページが比較的少なかったのが僅かに救い。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 古本
本日2冊目はまた筒井康隆。これは初めて読んだ。絶版だったので古本通販。送料のせいで定価より高い。
んで。怒ると意識をなくしながら大暴れするサラリーマンが会社の派閥争いとヤクザの抗争に巻き込まれる話。どこまで行っても死、死、また死。おまけに街は壊滅というドタバタ。でも暗くて笑えない。
『男たちのかいた絵』もそうだったけど、ヤクザ絡みで暴力的かつ暗い話は面白いと思えないなぁ。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 新本
筒井康隆シリーズに再突入。
んで。暗い雰囲気の短編集。オナーニ大好き、モーホー、マゾ、虚言癖、ファザコン、二重人格などなど変人のチンピラが主人公。これがドタバタしてくれれば笑えると思うんだけど、なんだか暗くて湿度高め。かなり鬱。
高校の時に読んだ時は全然面白いと思えなかった。今回も全然面白いと思わなかった。俺には向いてないようだ。
- 浅田次郎
- 文春文庫
- 借り物
下巻を一気に読み終わり。泣かせ所満載。
んで。貧乏足軽と上司の友情物語&息子たちの友情物語という単純な構図だった。でも新選組や奥羽越列藩同盟という、字面だけで悲壮感漂わした単語が飛び交うと日本人は泣いちゃうのだ。やるな浅田。
当然フィクションだけど、吉村貫一郎は実在したらしい。ただしほとんど記録は残ってなくて、国に残した妻子のために云々という人物像は子母澤寛が『新撰組物語』で創作したものとか……二次創作ッスか。
- 浅田次郎
- 文春文庫
- 借り物
生涯2冊目の浅田次郎に挑戦。ちなみに初めて読んだのは『三人の悪党』だった。
んで。新選組後期で活躍した吉村貫一郎と、大正の世で当時の吉村を知る人達の語りを行ったり来たりしながら進む。吉村は南部藩出身の真っ直ぐな人。北辰一刀流大目録皆伝。頭脳明晰。でも超貧乏だったので脱藩して新選組で出稼ぎ中らしい。冒頭以外は全て独白形式で、その語り方がなかなかヨシ。盛岡出身の吉村の東北訛りはそれだけで悲壮感たっぷり。
守銭奴だ田舎侍だと呼ばれた吉村とはどんな人物なのか、なんでいきなり切腹なのか、雫石に残してきた家族はどうなってるのか……もう早く知りたい。先を読みたい。早く下巻を。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 新本
ここに来てちょっと読書ペースが落ちた。読み疲れかな。
んで。昭和47~8年頃の夕刊フジに連載されてたらしい筒井エッセイ。学生時代に読んだことがある気がする。イラストはもちろん山藤章二。この人の絵は不思議な線だなと思ったら小筆なのか。なるほど。
小説の場合と同じくエッセイでも過激な事を書き放ってたけど、誇張して書いてるだけで要点は至極まとも。このへんに実は常識的な筒井の姿が見えたりする。常識を知らなきゃ過激に面白いことなど書けないのかもなぁ。
- 藤沢周平
- 新潮文庫
- 借り物
去年映画になった話題作を遅ればせながら読んでみた。映画の原作になるくらいだから長編だろうと思い込んでいたら短編集だった。どうやって映画にしたんだろ。
んで。表題作の他「うらなり与右衛門」「ど忘れ万六」「日和見与次郎」などなど似たようなタイトルが集まってたから勝手に“なんちゃら誰々シリーズ”と呼ぶことにした。展開もほとんど同じ。目立たないけど剣に覚えのある主人公。藩の派閥争いに巻き込まれて斬る。一件落着。これ。
どれも同じような話なんだけど、なんでか面白かったのはさすが藤沢周平だ。「祝い人(ほいと)助八」のラストがお気に入り。
- 筒井康隆
- 新潮文庫
- 新本
なんだか分厚い文庫本。筒井の長編にはあまり良い印象を持ってないのだが果たして。
んで。贈答、接待、盗聴、横領、麻薬、放火、ゲロ等々、アングラな専門家ばかりが集まった「梁山泊プロダクション」が世間の良識を自称するヒマなおばちゃんと大激闘を繰り広げるドタバタ喜劇。盛り沢山で面白かった。
ところで「俗物」ってなんだ? と思って辞書を引いたら「世間的な名誉や利益ばかりを追う人。俗人。」と載っていた。なるほど、俺は俗物だ。
- 池波正太郎
- 文春文庫
- 手持ち
池波処分シリーズ、文春ラスト。嬉しくて本を持つ手に力が入った。
んで。討手に追われてる元侍で町医者の主人公。逃げ中。でもいい人達と巡り会ったので悟りを開いて逃げるのやめた。そんなこんなの人間模様。仇討ちや女に渡した毒薬など、大量の伏線を残したまま終わった。
これを書いた時の池波は「何となれば」が好きだったようで何度も使っていた。一度使った言葉が続けざまに出てくるあたり、やっつけ仕事であることがわかってしまう。もう少し落ち着いて書いてほしい。